要点:バッテリーとテザー給電の機上モジュールが、機体の負荷を分担している場合があります。モジュールの出力電圧がバッテリー経路よりわずかに低い場合、機体の需要が一時的にモジュールの能力を超える場合、またはケーブルや温度の条件で利用可能なテザー電力が低下する場合、バッテリーが電流の一部を供給し、充電率が下がります。
UAVを地上からの連続電源に接続すれば、元のバッテリーの充電率はまったく変わらないと考えがちです。しかし、実際の多くのテザー構成では電力経路はそのようには動作しません。
元のバッテリーを予備として機上に残す場合、機上DC/DCモジュールと同時に機体バスへ電気的に接続されることがあります。各電源が供給する電流は、電圧、内部抵抗、制御方式、機体の瞬時負荷によって異なります。
まず電力分担の構成を確認する
簡略化すると、テザー機上コンバーターと元のバッテリーという二つの電源候補が一つの機体バスへ給電するシステムです。両方の経路が有効でも、同じ電力を供給するとは限りません。
テザー機上DC/DCモジュール → UAVバス ← 予備バッテリー
1. コンバーターの出力電圧がバッテリー経路より低い
機体バスでは、有効電圧の高い電源から電流が流れる傾向があります。負荷時に機上モジュールがバッテリーよりわずかに低い電圧に調整されていると、バッテリーが引き続き電流を供給することがあります。
これはテザーモジュールの故障を意味するとは限りません。適切な設定値は、機体の構成、バッテリーの上限、意図した電力分担方式によって決まります。バッテリーとBMSを理解せずに電圧を上げると、意図しない充電や逆電流のリスクなど、別の問題を招くことがあります。
2. 機体の需要が一時的にモジュール出力を超える
ホバリング時の電力は、UAVが要求する最大電力ではありません。離陸、加速、風への姿勢補正、ペイロードの起動、急な操縦入力によって短時間のピークが発生します。機上モジュールが平均需要に近い容量で選定されていると、バッテリーが過渡ピークを補う場合があります。
- 通常のホバリングはテザーだけで給電できる場合があります。
- 短時間のピークはバッテリーが一部を供給する場合があります。
- ピークが繰り返されたり長引いたりすると、バッテリーの充電率が徐々に低下することがあります。
3. テザーの電圧降下で機上の利用可能電力が低下する
テザーには電気抵抗があります。負荷時にはケーブルに沿って電圧が失われます。単純化すると、電圧降下は電流と回路全体の抵抗が大きいほど増加し、導体損失はよく知られたI²Rの関係に従います。
そのため、ケーブルが長い、電流が大きい、または導体の抵抗が高い場合、機上コンバーターへ届く電圧が低下することがあります。コンバーターが入力または熱の上限に近づくと、機体負荷のより大きな部分をバッテリーが補うことがあります。
4. 地上側の入力電力が想定どおりに供給されていない
機上モジュールが出力できるのは、電力がシステム全体を通過した分だけです。容量不足の発電機、不適切なAC電源、地上給電装置の出力低下、その他の上流側制限により、モジュールの定格出力が高くても機上で利用できる電力が下がる場合があります。
5. 温度や冷却条件で連続能力が低下する
パワーエレクトロニクスは発熱します。周囲温度が高い、通気が限られている、別の熱源の近くに設置されているといった条件は、連続出力の余裕を減らします。コンバーターや地上機器が熱によって出力を抑えると、涼しい条件よりも多くの電流をバッテリーが供給することがあります。
6. バッテリー管理システムが電流の流れに影響する
スマートバッテリーやBMSで制御される機体は、単純な受動型バッテリーパックとは異なる動作をすることがあります。BMSは充電電流を制限したり、特定の条件で切り離したり、独自の推定ロジックで充電率を表示したりします。独自仕様の機体では、電圧だけから推測せず、実機でバッテリー動作を評価してください。
どの程度のバッテリー低下なら許容されるか
一律の割合はありません。過渡負荷をバッテリーが補う構成では、長いミッション中の小幅な低下は正常な場合があります。一方、急速または継続的な低下は、テザーシステムが継続負荷を賄えていないか、電圧の分担関係が適切でないことを示す場合があります。
確認すべきなのは「バッテリー残量が下がったか」だけでなく、「どの飛行条件で、どの程度の電流を、どれくらいの時間バッテリーが供給したか」です。
原因を診断する方法
安定したホバリング時のシステム動作を記録し、その後、負荷が高い場面と比較します。次の測定値が役立ちます。
- 機体バス電圧
- 機上モジュールの出力電圧と電流
- テザーから供給される機上モジュールの入力電圧
- 地上給電装置の出力電圧と電流
- 取得できる場合は、バッテリー電流の向きと大きさ
- 時間経過に伴うバッテリー充電率
- 周囲温度とモジュール温度
- 低下が発生したときの機体動作モードとペイロード状態
電圧を上げるだけでバッテリー低下を解決しない
機上出力電圧を上げれば、バッテリーからテザーモジュールへより多くの負荷を移せる場合があります。ただし設定値は機体、バッテリー、BMSに適合していなければなりません。不適切な電圧は意図しない充電や逆流を起こす可能性があります。調整は試行錯誤ではなく、文書化された電力経路の設計に従ってください。
適切に調整されたシステムが満たすべきこと
- テザーシステムが機体とペイロードの継続需要を賄う。
- 想定される過渡負荷に十分な短時間の余裕がある。
- 設計上必要な場合、バッテリーを予備として使用できる。
- ケーブルの電圧降下と地上電源の上限を電力計算に含める。
- コンバーターが温度と電圧の上限内で動作する。
- 設計された構成に従って、バッテリー充電や逆電流を制御する。
よくある質問
バッテリーが放電する場合、テザーシステムの容量不足ですか?
必ずしもそうではありません。予備バッテリーが短時間の過渡負荷を補う設計の場合があります。バッテリーがピーク時だけを補っているのか、継続負荷の大きな割合を常時供給しているのかを見分けることが重要です。
バッテリーが放電しないように、機上モジュールの電圧を上げてもよいですか?
機体とバッテリーの上限を確認せずに電圧を上げないでください。設定値が高すぎると、意図しない充電や逆電流が発生する可能性があります。
テザーケーブルが長いとバッテリーの放電が速くなりますか?
間接的には、はい。ケーブルが長いほど電気抵抗と電圧降下が増える場合があります。その結果、機上コンバーターで利用できる電力が減ると、バッテリーがより多くの電流を供給する可能性があります。
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